保育所労働実態調査を発表した「専修大学」
2018年に専修大学のゼミ主導の元で神奈川県川崎市の「保育所労働実態調査」が行われました。
その結果は、長時間労働が当たり前となっており、休憩時間も半数以上の方がほとんどとれていない労働環境の厳しさ。「労働環境の改善が必要」と、調査を実施した学生たちは痛感したようです。
よく保育士の労働環境の問題としてあげられているのが「給料が労働に対して合わない」こと。保育士の正社員の基本給は25万円以下。非正規雇用でも8割が時給1,200円以下でした。さらに残業に至っては、全体の約7割が「ほぼ毎日」「時々ある」と回答。長時間残業が多い実態がうかがえます。
その上、残業代が支給されているのは全体の3割。給料が安く一日の平均休憩時間が45分以上と答えた人は半数以下でした。
半分以上の方が勤務時間中には、充分な休みがとれていません。にもかかわらず、8割以上の保育士が今の職種で「定年まで」「できるだけ長く」働きたいと考えており、保育士の仕事に魅力を感じている人たちの気持ちによって、保育園の運営が成り立っています。しかし、実際の経験年数は5割近くが7年以下。長時間労働やサービス残業の多さにより、仕事を続けられないと感じる人が多い現実が浮かび上がりました。
保育士の労働事情・保育士の働く環境
神奈川県だけでなく、全国的に保育士の労働環境はあまり良いとは言えません。そのため政府や自治体では、保育士の処遇改善に乗り出しています。2017年からは、給料の2%の引き上げを行うなどの施策を実施。「給料が少なく長期間労働が当たり前」という現実を、給料をアップさせることで長く働き続けられる仕組み作りに取り組んでいます。その他にも、保育士不足で悩む自治体は家賃補助を設けるなどして、保育士の確保を急いでいます。また、いくら働いても給料が上がらずキャリアアップが難しいことも。キャリアアップのために、最大4万円の給料アップの仕組みもあります。
保育園の選び方
保育園には働いている保育士の労働環境を改善するためには「保育士の人数の多い」保育園を選ぶようにしましょう。保育士の人数が多いということは、急に休んでも誰かが業務を代わってくれます。さらに、自分自身も誰かの代わりに、無理に出勤するということを避けられるのです。
その他にも、保育士の残業が多いのは、手書きでの日報をよしとする文化や行事などのイレギュラーな対応が多いことがあげられます。解決するためには、難しい書類仕事を簡略・スピード化できるIT化を行っている保育園を選ぶこと。新しいことを取り入れ、保育士の業務改善に前向きであることがうかがえます。